July 20, 2006

FMR-CARD

Fmrcard


 以前も書いたのですが、いつでもどこでもテキストが打てる電池で動くパソコンやワープロが欲しくなり、色々入手しました。こういう時にヤフオクは頼りになります。
 で、まず第一弾はFMR-CARD。これは単三電池2本で8時間以上動作するというMS-DOS機で、1991年発売というから、もう15年も前のパソコンです。当時は20万以上だったんですが、これ、私新品で買ったことあるんですよね。で、その時はCで簡単なプログラムを組んで遊んでいたりしたんですが、その後売ってしまいました。

 電池で動くテキスト打ちマシンが欲しくなったついでに、この機種も再び欲しくなってヤフオクを張っていたんですが、さすがになかなか出てきませんでした。最近やっと出品され、即攻でゲット。このパソコン、とても15年前のものとは思えないほどの軽さ、薄さで、エンジニアプラスチック製のボディは意外に堅牢、単三2本で8時間動くのは今のモバイルパソコンを凌ぐ能力です。テキスト打つのに綺麗な液晶は必要ありませんし、昼間とかなら反射型液晶のほうが見やすいのです。大きさはA4サイズなのでB5ノートなどに慣れた身には少々大きいですが、逆に990gなので、同じくらいの重さのB5ノートより軽く感じます。

 仕様などはこちらの方のページを見ていただくとして、問題は現代のパソコンと、どうデータをやりとりするかです。この機種はICメモリカードスロットを2つ持っていて、他のデータをやり取りする方法として後付モデム、フロッピーディスクドライブなどが用意されていますが、やはりデータをやり取りするのならPCカードスロット経由でコンパクトフラッシュやSDカードが理想です。ところが残念なことに、この機種の仕様がICメモリカード(正確にはSRAMカード)の規格で、JEIDA 4.0に準拠、今のSDカードやCFカードはJEIDA 4.2以降、つまりFMR-CARDはPCスロットは持っているものの、SDカードやCFが使えないわけです。この機種で使えるのが下の写真にある、SRAMカード(128と書いてあるほう)で、カード側にリチウム電池(電池は現在も入手可)を入れてデータを保持するタイプです。オークションの出品者さんがこの128Kバイト(メガバイトではない(笑))と1M(メガバイト)のSRAMカードを付けてくれていました。
電池は切れていたので、それぞれ新しいものに変えたのですが、これが今のXPマシンのカードスロットで読み込めるかどうかは分かりませんし、壊れたりしたら不安ですので刺すのを躊躇してました。

Fmrcard2

で、とりあえずネットで情報を探すと、こちらの方の記事があり、どうもXPで読み込めそうだということで、意を決し、手持ちのWindowsXPマシン、Let'sNote CF-R1のカードスロットにFMR-CARDで作成したサンプルファイルを入れたSRAMカードを差し込んでみたのでした。で、結論としては案ずるより生むが易し。XPが勝手に汎用PCMCIAメモリカードドライバをインストールしてSRAMカードの内容を問題なく読みこむことができました。もちろん、書き込みもできます。
(多分、XPのSP1だと汎用メモリカードドライバを手動で組み込むことになるのでしょうが、CF-R1はSP2にアップデートしていたので、自動でセットされたのでしょう。)
注意点としてはXP側でカードのフォーマットしてはいけないということでしょうか。まあ、128KBや1MBくらいの小容量カードだと勝手にFAT16になるかもしれませんが、やはりFMR-CARD側でフォーマットするのが確実です。XPも手動でFATの指定ができるとありがたいんですが、残念ながらそういうオプションは無いようですね。大抵の場合XPでフォーマットしたカードはMS-DOS、FAT16のみ対応の昔のPCやワープロでは読み書きできなくなります。

これでFMR-CARDとXPマシン間で簡単にデータのやりとりができるようになり、十分現役で使えることを確認できました。

 一つ問題は解決したので、次はFMR-CARDでテキストを打つエディタまたはワープロをどうするかです。一応FMRで動くエディタとしてはVZエディタも可能なのですが、これはバージョン1.57へ、フリーソフトのパッチを当てる必要があり、最近再販を開始したバージョンが1.6ですから、ちょっと使えるかどうかわからないし、そもそも値段も高いです。

 そこで、とりあえずオークションの出品者さんが付けてくれたアシストパックのワープロ(アシストレター)を試してみました。が、これはファイルサイズが大きなものは最後まで読み込めません。自分が求めている能力としては400字詰め原稿用紙で300~400枚くらいなので、150枚程度のテキストも編集できない時点で、アシストワードは没です。そのうち紹介しようかと思っているNECのワープロ専用機文豪ARDATAなどのような、グラフや罫線などを排した長文モードのようなオプションも見当たらないのと、ワープロソフトですからエディタに比べて反応が遅く、キーバインドも使いづらいので、使用をあきらめました。

 次に試したのが、フリーソフトのエディタNEED。色々な機種用が出ているのですが、大変コンパクトでよく出来たエディタです。ただ、残念ながら64Kまでのファイルしか編集できないので、これも本格的にテキスト入力に運用するのは力不足です。ただ、その軽快な動作と柔軟なキーカスタマイズ能力は素晴らしく、大きな文書は複数のファイルに分けて打ち込むというのも有りだとは思います。

 で、もう一つ出品者さんがつけてくれた、MS-WORKS(ROM版)のワープロを使ってみました。先に使ったアシストパックよりさらに統合型のソフトで、なんとなく動作は重そうだし、メモリも食いそうだから全く期待していませんでした。とりあえずROMカードをFMRに刺し、(FMR-CARDの場合、ソフトがROMカードタイプだと、最初FMR本体のRAMディスクに若干の設定をするだけで、あとは刺すだけでOK。レジューム機能といい、簡便さ、機能性では十分今のWindowsXpやCEのノート、PDA以上かも)100Kバイトくらいのテキストファイルをワープロで読み込んでみました。最後までちゃんと読み込めたので、むむ、これは案外使えるかも…と思ってスクロールさせるとのったりのったりと、スピード的にまるで使えません。これはまた何か回避する手段がないものかとオプションを見てみると、テキスト・グラフィックという項目があり、グラフィックが選択されていました。多分これだろうと思い、テキストを選択すると、NEEDほど軽快では無いにしろ、かなり動作が速くなり、十分使えそうです。ブックマーク機能などもあり、意外と使いやすそうで、今FMR-CARDでテキストを打つ時はこれを使用しています。
ちなみにMS-WORKSのマニュアルはかなり分厚いのですが、設定項目などがあちこちに飛んでいて、かなり分かりづらいものとなっています。
ただ、使い始めなのでよくわかっていない部分もあるのですが、MS-WORKSで書き出したテキストは文頭とファイルの終わりにゴミが付くようです。他のエディタなどでカットすれば問題ないので気にはなりませんが。

FMR-CARDの使用感ですがキーボートはさすがにA4ノートですからキーピッチも十分、私の持っているのはJISキーボードタイプですが、それでもスペースキーの下に変換と無変換のキーがあり、日本語入力の要になっているので、ちょっと慣れる必要がありますが、これはこれで面白いです。
キーストロークはまあ、浅いほうで、とにかくパチパチと五月蝿いです。が、これもソフト的に出すキークリック音より自然だし、慣れるとキーを打っている実感があり、最近のコストを抑えるのがメインの安っぽいキーボードより好きかもしれません。外に持ち出して使うというより、自宅や周りに人のいない環境で自由なスタイルで打つのが良さそうです。とにかく電池も結構持ちますしね。

FMR-CARDのアキレス腱は液晶モニタとキーボードを繋ぐヒンジ部分です。先に紹介したFMR-CARD使いの方のページにも書いてありますが、開け閉めしていると液晶モニタを繋ぐケーブルが断線しやすいようです。事実、昔持っていた同機もある日液晶が真っ黒になり、修理に出した記憶があります。てなわけで、とりあえず蓋はそおっと開けるようにしていますが…もしかすると上の方のページの修理に関する記事のお世話になる可能性も…
また、うちの個体に限ったものかもしれませんが、ヒンジの部分にがたつきがあります。(使用上特に問題はありません。)

 というわけで、あまり普通の人にはお勧めできない(笑)機種ではありますが、とても15年前の機械とは思えない非常に先進的な面白さがあります。モニタケーブルの断線以外はハード的に経年変化に強そうだし、今でも正常に動く個体が多いのではないでしょうか。上記のとおり、XPのノートPCがあればテキスト打ちに十分使えますし、親指シフトタイプも存在するので、親指シフターにはキーピッチの余裕がある点でも使えるマシンかもしれません。

 単三2本で8時間駆動で、プロセッサをやや速い物にしてメモリを増やし、サイズをA5にして、SDカードスロット、PCMCIAスロットを付けたFMR-CARDを5,6万で売ってくれれば欲しいんだけどなぁ・・・一部インタートップがこの機種の後継とする意見もあるんですが、やっぱり充電専用バッテリータイプはバッテリーが必ずへたって使えなくなるので、後継とは認めません(笑

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