ウルトラQ -dark fantasy- 感想
また随分間があいてしまいましたが、久々に更新。
で、唐突ですがHDDのファイル整理をしていたら昔書いたウルトラQ-dark fantasy-の感想が出てきたので、生存証明を兼ねて掲載しようかと…(昔自分のホームページに載せて短期間リンクを張っていたことがあったんですが、リンク切ってそれっきりだったはず・・・)
本放送当時、毎週書いていたものなので、そんな感じの文章になってます。
元祖Q好きの自分としてはやっぱり辛口になってしまってますなぁ…
えーと、(元祖)ウルトラQが好きです。初オンエア当時、小学生でしたが毎週わくわくして見ていました。
そんなウルトラQがリメイクされ、ウルトラQ -dark fantasy-(ウルトラQDF)となり、カネゴンやらガラモン・ケムール人もどきが出るということで低予算・スポンサーがあの欠陥商品(CCCD)販売元のエイベックス、OAが深夜枠で東京ローカル(+animax)という点に激しく不安を抱きつつも第1話から結構期待して見てました(^^;。
私の場合やはりウルトラQを名乗る以上、原則として怪獣を絡めたセンス・オブ・ワンダーに溢れる良質ドラマアンソロジーであって欲しいというのは基本です。
もともとのウルトラQの企画は後の怪奇大作戦っぽいSF,スリラーベースのドラマということで悪魔っ子やあけてくれ!、ボツになった幽霊自動車など、怪獣はあんまり出ないものだったようですが、TBSが円谷プロがやるなら怪獣だろうということで円谷プロに初期制作段階で路線変更を要請、ほとんどの回に新怪獣が登場し、結果高視聴率をたたき出しまくって、後のウルトラシリーズ、怪獣ブームに繋がって行く訳です。
そんなわけで、はっきり言って今回のウルトラQDFは別にウルトラQを名乗る必然性の無い、世にも奇妙な物語や火曜サスペンス劇場、恐怖劇場アンバランス、怪奇大作戦といったタイトルのほうが似合いそうな作品が多く、結構トホホです。中には古典からの盗作・剽窃としか思えない作品もあり、ウルトラQの大看板を汚すのはやめて欲しいと思ったこともしばしば・・。ただ、新設定の主役キャスト(袴田・遠藤・草刈トリオ)は今の時代に良く合っていて、皆さん好演しており、これでお話が面白ければなぁ・・・と余計残念だったりします。
とは言え、QDFでも怪獣が出ている回はそれなりに面白く、低予算で怪獣使いまわしでもいいから、そっちの方向でもっとお話を作ってくれればもうちょっと面白かったかなぁと思います。怪獣が登場しない回でも面白い話も散見されるので、元祖同様これらをスパイス的に使うと全体の印象がぐっと良くなったでしょう。
なんといってもウルトラシリーズの生みの親とも言うべき金城哲夫さんが亡くなられているのが痛いです。彼が生きていたらはたしてこのようなDFに納得したかどうか・・・。怪獣が出なくてもまったく違ったセンスオブワンダー溢れる新たなるウルトラQの世界を見せてくれたかもしれません。
一応、全部見てますので個々の話の感想・独断的評価をつらつらと・・・。
戦闘ヘリあたりのCGが最近の3Dゲーム風なチープさで、できればミニチュアでやってほしかったところではありますが、昨今は(この程度のクオリテイなら)CGのほうが安あがりなのでしょう・・・
電子頭脳が実はでかいほうだったというオチは良しとして、小さい方はあんまり強そうでなく、怖くも無く、戦車なんかでガシガシ踏み潰せそうでこれで本当に人類が征服できるんか?と思わず遊星人を心配してしまうのがどうも・・・。
渡来角之進役教授こと草刈さんの新境地的怪演が最初違和感があったのですが、慣れるとマッドサイエンティストな感じで結構いい味出してます。
なんといっても怪獣が出てくるのがウルトラQっぽく、主要キャストの紹介篇としても成功していると思います。よって評価は★4つ。(やはりCGが今一つ)
しかしこの回で一番印象に残ったのはどう見ても標準っぽいレンズがついているレンジファインダー機なのにファインダー一杯に空を飛んでいる隕石が捉えられる超望遠な写真が撮れるらしいエンクミのカメラ。こんなコンパクトな超望遠カメラ欲しいです。(笑)モノはたぶんキャノネットQL19(45mmF1.9)あたりか・・。
宝生舞さんの恐怖にひきつった顔が怖いです。宇宙人のデザイン、もうちょっと個性が出るとなお良かったのですが・・・。
最近、やれオマージュだのパロディだのと過去にあった名作を加工した作品を目にする機会も多くなってきました。(まあ、空想特撮ドラマでもいろんなアイディアが出尽くしてしまってオリジナルなストーリーを作りづらいせいもあるのでしょうが・・)
しかし、これはいけません。まんまホラー小説の古典中の古典「猿の手」のパクリです。なんらかの捻りがあるかといえばそれほどのものは何も無く、登場人物や小道具・事件を記号的に置き換えただけの盗作・剽窃といった言葉がよく似合う作品です。ついでに死んだ母親が戻ってくるあたりの雰囲気はペットセメタリーあたりもパクったか、いずれにしてもウルトラQというあまりにも大きな栄光のある看板に思いっきり泥を塗りたくってます。最後の安易な人類破滅オチも最悪です。オマージュというなら漫画のアウター・ゾーンの世界の小さな平和を願う古本屋の話くらいの事はやらないと・・。
トーテム君に世の中からオマージュと称した盗作が消えますように・・・とお願いしたいくらいです。
精神と肉体が分離するのは同じですが、親が娘にアルタードステーツをやらせているという、考えてみれば児童虐待が多い世相が反映されているのでしょうか・・・。(無い無い(^^;)
元祖の娘を思うが故の催眠術の多用で分離してしまった精神が肉体を滅ぼそうとするという話のほうがはるかに神秘的で怖いし、SFマインドにあふれているかと思いました。オルゴール等の小道具も効果的でした。
リメイクのほうは子供がモルモット的扱いでなんだか後味悪いです。
元祖ウルトラQではセミ人間が現れた目的は電子頭脳を取り返すということで、「ガラモンの逆襲」は非常にサスペンスフルな作品となっておりました。
一方こちらで登場したセミ女の目的は前回ガラモンもどきを倒した渡来教授を盗人に仕立て上げて(エンクミ・袴田君にもついでに)個人的に復讐するという、世界征服めざして幼稚園バスを襲撃するショッカー怪人なみのトホホな展開です。
しかも最後にゃ教授に爆弾付きの首輪をつけて爆殺をはかるという・・・なら最初から面倒なことをせずそうしとけば良いものを、どうしても渡来教授が自殺したとみせかけて完全犯罪を目指したかったようです。天下のチルソニア遊星人も警察が怖いのでしょうか(笑
加えてセミ女、SMの女王様風なファッションに身を包みムチ振り回すわ、喋り方が女王様+そこらのヤンキー風な姉ちゃんだわでせっかく頭部の作りこみは(目はジージーと回ってほしかったものの)結構良い感じなのにとっても頭悪そうでイメージ良くないです・・・。
最後のあたりでやっとでかいガラゴン2号が登場したかと思ったとたん、エンクミ所有のガラQにセミ女ともども瞬殺されるという・・・(^^;
うーん、上原さんの脚本ですがやはりもうちょっとなんとかならんかったもんかと・・・。(ハッカー行為は犯罪ですよ・・・もちょっと(笑))
怪獣2体出ていてもちょっと辛めの★2つ半・・・・残念!(;_;
演出もなんか無駄に怖さを盛り上げる?ために定番な人形使ってくるあたり火曜サスペンス劇場といった感じの物悲しさも漂います。ともかくエンクミが強いのか相手が弱すぎるのかやたら緊張感の無いご都合主義的な展開がトホホな作品でした。
特にカネゴンヌになってからの主役の女の子の吹き替え?が非常によく合っていて可愛らしく、あの着ぐるみ然としたカネゴンヌに見事に命を吹き込んでいるところが実に素晴らしい。プコプコいう足音もナイスです。エンディングのテレビと中のカネゴンヌてんこ盛り映像も秀逸。スペイン人でもオランダ人でなくても★満点です。
フラッシュハニーなエンクミが持っているカメラがNikon D100っぽいのがやはり21世紀なのか?w
それにしても怪獣退治のため休講するのは渡来先生くらいだろうなぁ・・(w
まあ、ある意味個性的で独特のゆったりした時間の流れが感じられる演出も面白い。渡来先生の性格づけも割と良く表現され、休講の張り紙分の★も加えて★2つ。
アングラ演劇の脚本を実相寺節炸裂の演出&カメラワークで格調高く仕上げたイメージビデオというか・・・いかんせんお話がずーっとモノローグ中心でおじさんと人形おばさんの棒読みチックな台詞で進行し、いつ面白くなるのかなーと思っていたら最後はいきなりエコエコアザラクで唐突な展開&強制終了なんですが・・・23話同様小難しい台詞並べたてるだけで、内容は単純なお話という印象しかありませんでした。なんとなく題材的に(怪奇大作戦の青い血の女+からくりサーカス+エコエコアザラク)X江戸川乱歩といった感じでしょうか・・・
ウルトラマンやセブン・ティガ(?)、怪奇大作戦で実相寺さんの作品が面白かったのは基本に子供から大人まで楽しめるような許容範囲の広めなドラマがあり、そこに実相寺監督の独特の世界が展開されるのでわかりやすくも格調の高い作品となっていたと思うのですが、ウルトラQ劇場版にしろ、これにしろ、あまり縛りが無いと糸の切れた凧のような作品になってしまうということでしょうか・・・。エンクミ+袴田+草刈トリオメインでドラマが展開するとその制約から逆に観やすい作品になったかな~とか・・・。
こういうテイストの作品が好きな方は熱烈に支持するかもしれませんがあんまり大衆受けはしないでしょうね。
まあ、アンソロジーの一篇として毛色の違うもの、味のあるものがあっても良いとは思いますが、実相寺さんには多くの人が見ても分かりやすくて面白い作品も作って欲しいという期待があるんですよねぇ・・・。さてさて来週はどうなりますことやら・・・。
脚本家の趣味なのか、ちょっと不気味っぽいシチュエーションを用意して小難しい台詞を並べ立ててひとり悦に入っている感じ・・・。
前回・今回の話は作家性を前面に押し出しすぎて観客を置いてっちゃってるような感じでした。
新・恐怖劇場アンバランスとかだったら、ヒトガタやこの話なんかもまあ実相寺さんがやったというだけでそれなりには楽しめたかもしれませんが・・・。
闇で思い出されるのは世にも奇妙な物語のスマップ篇のブラックルームという話・・・あっちのほうがはるかにウルトラQ指数は高かったしなにより脚本が面白かった。
いよいよ次回最終話登場のケムール人もどきは面白そうです。でも面白かったとしても闇やその前のヒトガタと一緒のDVDならいらないな・・・(笑
恐怖劇場アンバランス的アングラ劇場な脚本&演出の自慰行為的24,25話あたりと比べると雲泥の差というか、視聴者を楽しませようという意識のしっかり感じられる脚本が良かったです。
まあ、元祖のケムール人の2020年の挑戦に比べるとお話も予算も弱いですが、おそらく身の丈300メートル以上あろうかというレキューム人のタワーに向かって歩くカット、予算と戦いながら合成・CGで安っぽいなりに巨大感を演出するカットなどは印象的でした。
つまらんアングラ芝居や盗作などやらないで、特撮はチープでもこのトーンでQDFを統一してくれれば、私としてはもっと楽しめたのですが・・・・・。
QDFを見終わっての結論は、時々面白かったけど、DVDを買うほどでは無い・・・録画で十分といった感じでしょうか・・・。
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Comments
はじめまして。
いまなにかに見える形を撮影したくて、いいアイディアがないかネット上を探していたら、この怪生物のような写真を見つけて凄く良いと思ったので是非この写真を撮った場所が知りたいのですが、よかったらこの三枚目の写真を撮った場所を教えていただけませんか?
よろしくお願いします。
Posted by: HASHIKO | December 07, 2008 02:10 PM