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December 11, 2005

狙われない街

先日(12/10)のウルトラマンマックス「狙われない街」は久々に実相寺昭雄監督の本領が発揮された名作だったと思います。

内容はウルトラセブンの名エピソード「狙われた街」の続編というか、後日談というものでしたが、瀕死の重傷から人間に助けられたメトロン星人がカイト隊員(主人公)と卓袱台をはさんでじゃんけんしたり、夕陽をバックに巨大化したりと往年のファンにもサービス満載といった感じで、実にユーモラスな作品に仕上がっておりました。タイトルバックの「対話宇宙人メトロン星人再登場」というクレジットもなかなかです。(笑)
特にメトロンがカイトにじゃんけんしようと持ちかける際、ポンと筒状の両手をうつのですが、これがいかにも紙筒を打つ音で間が抜けていて、何度観ても笑えます。

もう人類は放っておいても滅びるから故郷に帰ろうという侵略宇宙人をヒーローが見送るだけというお話は結構斬新かもしれません。
それでいて、非常にメトロン星人が魅力的に描かれており、私としてはこのエピソードをもってウルトラシリーズの悪役の顔、バルタン星人と同格の存在感を得たように思います。

実相寺監督は平成ウルトラマンシリーズやウルトラQダークファンタジー(QDF)などで何話か新作を撮っていますが、私にはどれも糸の切れた凧というか、ウルトラシリーズの枠を逸脱しすぎて印象には残るけど実相寺節が前面に出すぎて前衛演劇を見せられているような、つまらない作品が多かった(QDFの「人形」「闇」、マックスの「胡蝶の夢」など)のですが、今回のエピソードはウルトラシリーズの設定の枠内のストーリーベースで実相寺節がうまく発揮された作品で、大変楽しめました。
(やはり故金城哲夫、円谷一といったシリーズを統括するお目付け役がいないと、実相寺さん、みなぎる創作意欲が噴出しすぎて歯止めがかかならなくなってしまうのかも・・・)

今回は携帯電話に噛り付いたり、電車内で化粧する若い娘たちなどの映像を通して、便利なツールによって人類が退化し、猿化して行っているといった文明批判?、教育的な主張のようなものも込められていたりするのですが最近、こうした大人が子供に教育的な(たとえば大人のこんな姿見て君はどう思う?と問いかけるような)番組ってあんまり無いような気がします。別に説教くさい番組である必要はありませんが、番組制作者が金儲け主義で子供が望むものだけを与える傾向ってやっぱりあるんじゃないかと思ってみたり・・・・。

少なくとも私は若い女性が電車などで所かまわず化粧するのを見るってあんまり気持ちの良いものではありませんので、ちょっと共感する部分もあるわけでして、さらには電車の中で携帯電話で大声で話をする人や、電話をひたすらじっと見つめている人の群れの横で静かに文庫本を読んでいる女性なんかがいると、とても知的に見えたりします。(笑)

放送の前日、TBSラジオに実相寺監督が出演され、色々とこのエピソードについても話をされていたのですが、中でも印象的だったのは、今回マックスの作品を作るにあたり、実相寺監督が円谷プロに制作条件として4話作らせろと言ったところ、結局2話になったとの事。実相寺作品を4話分見たかったような気もしますが、前衛演劇が3話になる恐れもあり(胡蝶の夢は子供にも評判悪かったみたいですし)、とりあえずプロデューサー判断は正しかったのかも・・・しかし今回は寺田農、六平直政、堀内正美といった名優、怪優が惜しげもなく登場するので、この調子で4話作られたらお金がかかりすぎてかなわん・・・ということだったのかも・・・(笑)

ご本人も自分はシリーズ第2話のような作品全体の方向性を定める大事な回はまかせてもらえないといったような事をおっしゃっておられたように思いますが、それは確かにそうでしょうね。正統派な話の中にたまに登場するからこそ、実相寺作品は輝いているのだと思います。

また、昔の番組フォーマットに比べて今は本編に使える時間が2分少なく、この2分の差はとても大きいということをおっしゃられていました。もし昔のフォーマットなら今回の印象的なぶつっと切れたようなラストも変わったのでしょうか・・・・。

それと、実相寺アングル(だったかな?)という画面を極端に傾けたり、手前に電話などをなめて登場人物を小さく表現したりという技法は実は昔TBS社員時代に生放送でカメラを何台も使う際、それらのカメラを隠すための必要に迫られた技法だったというような事も話されていました。(ちょっと記憶が正確でないかも・・・)
まあ、ともかく実相寺さんのカメラアングルは一目でそれとわかるほどのインパクトがあり、多分堤幸彦監督とかは相当影響を受けているのではないかと・・・。

あと、「狙われない街」のBGMのピアノは冬木透(ウルトラセブンや帰ってきたウルトラマンの音楽作曲者)さんが弾いていたそうです。こうしたサービスもファンには嬉しいかもですね。今回は(今回も?)音に凝ったとの事で、オープニングから音をかぶせたり、新録BGM,実相寺さんお得意の生活音を色々入れてくるところなど、気をつけてみるとなかなか色々やっているようです。

最後に実相寺監督が一言「狙われた街を観た人は狙われない街を観ないと駄目でしょう」というような事をおっしゃられておりましたが、この作品に関してはけだし名言と言えるでしょう(笑

昭和ウルトラ世代でまだ観ていない方にはDVDレンタルでも再放送でもなんでも良いのでぜひ観ていただきたい作品でありました。(^^)/

メトロンが地球みやげにと手にはさんでいた永谷園のお茶漬け海苔らしき袋、普通のお茶漬け海苔なのか、鮭茶漬けなのか、はたまたほかの茶漬けなのかがとても気になります。(笑

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